
「仮想通貨で損ばかりしてしまう」「もっと確実性の高い投資方法はないのか」と、仮想通貨取引を始めたけれど利益を出す方法に頭を悩ませていませんか?
そんな人におすすめなのが、価格差を利用して利益を出す『アービトラージ(裁定取引)』という方法です。しかし、耳慣れないため「難しそう」と感じたり「そんな方法、禁止されていないの?」と疑問に感じたりする人も多いです。
今回は、アービトラージについて仕組みやリスクなどをわかりやすく初心者向けに解説します。
目次
アービトラージ(裁定取引)とは?仕組みを解説
アービトラージとは日本語で『裁定取引』と言います。「本来一定の価格であるはずのもの」が、なんらかの歪みによって「価格差が生じた」とき、その価格差を利用して利益を出す取引方法のことです。
少し分かりにくいと思うのでビットコインを例にしてみましょう。以下は執筆時点の各取引所のビットコインの購入価格と売却価格です。
取引所 | ビットコイン購入価格 | ビットコイン売却価格 |
コインチェック | 5,718,681円 | 5,716,232円 |
DMM Bitcoin | 5,722,719円 | 5,714,141円 |
bitFlyer | 5,718,641円 | 5,716,094円 |
GMOコイン | 5,715,789円 | 5,714,900円 |
※2021年12月26日時点
比較すると、すべての取引所で同じ価格ではなく、価格差があることが分かります。仮想通貨の取引量は取引所によって異なるため、同じ通貨でも歪みが生まれ価格差が生じているのです。
例えばAの取引所でビットコインを570万円で購入し、すぐにBの取引所で572万円で売れれば2万円の利益が得られます。
アービトラージのやり方
アービトラージのやり方には、大きく3つの方法があります。それぞれの方法をわかりやすく解説するので、自分に合った方法を選んで試して見てください。
- 安い取引所で購入、高い取引所で売却する
- 両建てをしたあと送金して売却する
- 両建てをしたあと送金せずに売却する
1.安い取引所で購入、高い取引所で売却する
最も簡単なアービトラージの方法が、安い取引所で購入して高い取引所で売却することです。まず価格差がでるまで、2つの板を見比べましょう。
上図は取引所「bitFlyer」と「bitbank」の取引板画面です。それぞれの買い注文と売り注文の価格を抜き出すと、以下となります。
取引所 | 買い注文 | 売り注文 |
bitFlyer | 5,710,005円 | 5,712,744円 |
bitbank | 5,717,018円 | 5,717,018円 |
bitFlyerの買い注文は「5,710,005円」で、bitbankの「5,717,018円」より少し安くなっています。逆にbitbankの売り注文は「5,717,018円」なので、bitFlyerの売り注文「5,712,744円」より高いです。
この価格差を用いて、以下のように取引をします。
- 価格の安い方の取引所で購入します(上記の例の場合bitFlyer)
- もう一方の取引所に購入した通貨を送金します(bitFlyer→bitbankへ送金)
- 価格の高い方の取引所で売却します(bitbankで売却)
この手順を踏めば、少額ではありますがアービトラージで利益を生み出せます。
2.両建てをしたあと送金して売却する
「安い取引所で購入、高い取引所で売却する」場合、送金している間に価格が変わり、損をする可能性もあります。利益・損益をできるだけださないようにするのが、両建てする方法です。
両建ては、以下の4ステップでできます。
- 価格の安い方の取引所Aで購入します
- 同時にもう一方の取引所Bで、同じ量の通貨を空売り(ショート)します
- A取引所で購入した通貨をB取引所に送金します
- B取引所に送金した通貨を売却し、空売りした通貨も決済します
この手順をふむと、価格変動のリスクを抑えながらアービトラージを行うことが可能です。
ただし送金したあと放置していると、レバレッジ手数料(ポジション手数料)がかかるので注意しましょう。また仮想通貨の送金には手数料がかかります。
3.両建てをしたあと送金せずに売却する
両建てをしたあと別の取引所に送金せず、価格差がなくなるまで待つ方法もあります。具体的な手順は、以下の通りです。
- 価格の安いほうの取引所Aで購入します
- 同時にもう一方の取引所Bで、同じ量の通貨を空売り(ショート)します
- AとBの価格差がなくなったら売却・決済します
例えばAの取引所で570万円でビットコインを購入、同時にBの取引所で572万円でショートをします。徐々にAとBの価格差がなくなり、どちらも571万円になったところで売却と決済をしましょう。
A取引所では、570万円分のビットコインが571万円のビットコインとなるため1万円の利益になります。B取引所では、572万円分で売却した日本円を571万円で購入するので、1万円の利益です。
アービトラージの3つのメリット
アービトラージを行うメリットは以下の3つです。
- リスクが低い
- 価格変動を待たずに行える
- 銘柄に関する知識やトレードに関する知識を必要としない
1.リスクが小さい
1番のメリットはリスクが低いことでしょう。アービトラージは価格差のみを狙う手法なので、トレードのように暴落暴騰に振り回されることは少ないです。
商売でいえば安く仕入れる方法が分かっており、高く売れるお客さんも見つかっている状態です。
2.価格変動を待たずに行える
2つ目のメリットが、価格変動を待たずに利益が出せることです。仮想通貨では長期にわたってレンジ相場(一定の幅で値動きを繰り返すこと)が続く場合があり、利益が出しにくい時期があります。
レンジ相場が続くときでも、価格差の歪みを生かすアービトラージなら関係ありません。
3.銘柄に関する知識やトレードに関する知識を必要としない
アービトラージには、難しい知識や銘柄に関する情報は一切必要ありません。
トレードであればテクニカル分析を覚えたり、どのような銘柄なのかを調べニュースを仕入れたりして、情報収集や勉強が必要です。しかしアービトラージならタイミングを狙うだけと、非常に簡単です。
アービトラージの3つのデメリット
アービトラージのデメリットは大きく以下の3つです。
- 送金中に価格差がなくなる場合がある
- 常に取引板を見ておく必要がある
- 大きな投資額が必要になる
1.送金中に価格差がなくなる場合がある
1つ目のデメリットは、価格差がなくなってしまう可能性があることです。
安い取引所で購入したとしても、取引をしている間や送金をしている間にも価格は変動しています。売却するときには価格差が埋まっている場合があるので、注意しましょう。
2.常に取引板を見ておく必要がある
送金する手間や手数料を考えると、できるだけ価格差は大きいほうが良いでしょう。しかし大きい価格差が生まれるのは稀です。
各取引所の購入価格と売却価格を一覧で表示できるサイト「coinchoice」を使うと便利です。
3.大きな投資額が必要になる
取引所によって価格差があるとはいえ、その差は基本的に小さいです。そのため、大きな利益を出したいなら、巨額の資金が必要になります。
現在の資産が少ない人が大きく稼いだり、短期間(1年程度)で大金を稼ぐようなことは、アービトラージではできません。
アービトラージは違法なの?禁止されている取引所
アービトラージは2021年12月時点では違法ではありません。禁止している国内取引所や、規約に記載している取引所もないので、安心して利用してください。
ただし、将来的に規制される可能性はゼロではありません。仮想通貨の規制は年々厳しくなっており、今後アービトラージが規制対象に含まれる可能性も否定できません。
アービトラージにおすすめの仮想通貨(暗号資産)取引所3選
アービトラージにおすすめの仮想通貨取引所を3つピックアップしました。送金手数料が安かったり、初心者でも使いやすいアプリがあったりする取引所なので、ぜひ参考にしてください。
コインチェック
- 取扱通貨数最多の17種類
- 「Coincheckつみたて」が利用可能
- 500円からの少額投資ができる
コインチェックは取扱通貨数が国内最多の17種類。初心者にも使いやすいアプリが特徴で、2021上半期国内暗号資産アプリダウンロードNO.1※となっています。
取引手数料が無料なので、お得にトレードしたい人は利用すると良いでしょう。最短1日で口座開設できるので、すぐにアービトラージを試せます。
取扱通貨 | 17種類
|
---|---|
レバレッジ | 不可 |
送金手数料 |
|
取引所手数料 | 無料 |
入出金手数料 |
|
出金手数料 | 407円(税込) |
※2020年1月 – 12月(データ協力:App Annie)
出典:コインチェック (2021年12月時点)
DMM Bitcoin
- レバレッジ取引の通貨ペアが国内最多
- 取扱い開始まで最短1時間
- 送金手数料が無料なのでアービトラージ向き
DMM Bitcoinは15種類の仮想通貨が取引可能で、レバレッジ取引通貨ペアは国内最多の21種類を誇る仮想通貨取引所です。申し込みから取引開始までが最短1時間なので、すぐにアービトラージができます。
またDMM Bitcoinは送金手数料が無料なので、アービトラージのコストを考える必要がありません。
取扱通貨 ※レバレッジ取引 |
15種類
|
---|---|
レバレッジ | 2倍 |
送金手数料 | 無料 |
取引所手数料 | ー |
入出金手数料 | 無料 |
出金手数料 | 無料 |
出典:DMM Bitcoin ※2022年4月時点
bitFlyer
- レバレッジ取引が可能
- ビットコイン取引量国内No.1※
- MONA・XLM・XRPの送金手数料が無料
bitFlyerは、15種類の通貨が取引可能な仮想通貨取引所です。「ビットコイン取引量、2021年国内取引所No.1」となっており、ビットコインを扱う投資家に定評があります。
主要メガバンクや大手企業からも出資を受けており、セキュリティも高いので安心して利用できる取引所といえるでしょう。
取扱通貨 | 15種類
|
---|---|
レバレッジ | 2倍 |
送金手数料 |
|
取引所手数料 | 0.01〜0.15% |
入出金手数料 |
|
出金手数料 | 220円~770円(税込) |
※ Bitcoin 日本語情報サイト調べ。国内暗号資産交換業者における 2021年の年間出来高(差金決済/先物取引を含む)
出典:bitFlyer ※2021年12月時点
アービトラージを行うときの注意点
アービトラージを行うときには以下の2点に注意しましょう。
- 送金手数料がかかる
- 送金に時間がかかる
取引所から取引所に送金するときには、送金手数料がかかります。また送金手数料は、取引所や通貨によって異なります。
「XRPの送金手数料が無料だったので、BTCを送金したら手数料を取られてしまった!」「送金手数料で逆に損をした!」とならないよう、各取引所の各銘柄の送金手数料は必ずチェックしておきましょう。
サーバーの混み具合や、送金する時間帯、送金する銘柄によっても異なり、長いときには半日以上かかることも珍しくありません。
特に高騰時・急落時などは利用者が増えているので、送金も時間がかかります。いつまでたっても通貨が着金せず、いつの間にか価格差はなくなっていたという可能性も否定できません。
よくある質問
まとめ
今回はアービトラージについて、方法やリスク、おすすめ仮想通貨取引所などを解説しました。アービトラージはタイミングさえ間違えなければ、ほぼリスクなしで利益を得られる方法です。
ただし、送金に手数料や時間がかかるため、タイミングを間違えると損をする可能性もあります。本記事で紹介した手順に沿って、注意事項を守りながら慎重に取引を行いましょう。
関連記事
- 仮想通貨(暗号資産)レバレッジ取引のやり方!初心者におすすめの取引所
- 将来性が期待できるおすすめ仮想通貨ランキング!今後の展望を解説
- 仮想通貨(暗号資産)の時価総額とは?リアルタイムでの確認方法と最新ランキング
- NEMの今後と将来性を最新ニュースから予想!価格上昇のポイント
- 仮想通貨(暗号資産)のスプレッドとは?狭い・小さいおすすめ取引所
- イーサリムは今後どこまで上がる?過去の推移と将来の見通し予想
- アルトコインおすすめ5選!将来伸びる銘柄の特徴と投資のメリット
- ビットコイン ・暗号資産(仮想通貨)取引所おすすめ6選!比較ランキングも紹介
- リップル(XRP/ripple)今後の見通しを予想!将来性と今後の価格は?
- IOST(アイオーエスティー)の今後を徹底予想!価格上昇する要因5選
- ビットコイン(BTC)の今後を徹底解説!2021年以降の価格推移や見通しは?
- 【初心者向け】仮想通貨(暗号資産)の始め方!ビットコインの購入方法