
「過払い金に時効は存在する?」といった疑問を感じたことがある人は少なくないでしょう。

そこで本記事では、過払い金の時効が成立する条件や時効の進行を止める方法について解説します。
過払い金を回収できる可能性が高い人の特徴も紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
過払い金の時効が成立する条件
債権者に対して必要以上に支払った利息を過払い金と言い、過払い金の返還を求める手続きを過払い金請求と言います。
具体的な時効の条件は以下の二つです。
- 債権者との最後の取引から10年が経過
- 請求できる権利を確認してから5年が経過
事前に条件を把握しておけば、精神的にも余裕が生まれるでしょう。
条件①債権者との最後の取引から10年が経過
時効がいつから進行するのか、このスタート地点を法律用語で起算点と言います。

借り入れを開始したのが10前であっても、借金完済後10年以内であれば、過払金を回収できる可能性があります。
例えば、同じ貸金業者から複数回に渡り借り入れを繰り替えしていた場合、それらを同様の取引とするのか異なる取引とするのかが争点になります。
一連計算の場合
複数回に渡る借り入れに取引の一連性が認められ、同様の取引であると裁判所が判断すれば、過払い金の算出に際して一連計算が採用されます。

例えば、2004年5月に一度目の借り入れ、同年10月に借金を完済し20万円の過払い金が発生・2005年5月に2度目の借り入れ、同年10月に借金を完済、30万円の過払い金が発生したと仮定しましょう。
二つの取引に一連性が認められ同一の取引であると判断されれば、時効の起算点は2度目の借金を完済した2005年10月となります。
分断計算の場合
複数の回の取引(借り入れ・完済)に一連性が無ければ、裁判所はそれぞれが異なる取引であるとの判断に至り、過払い金の算出に際して分断計算が採用されます。
分断計算とは、複数回の取引に空白期間が生じた場合に、それぞれを別な取引と認識したうえで過払い金を算出する計算方法です。

一度目の借り入れは借金を完済した2004年10月、二度目の借り入れは2005年10月が起算点となり、それぞれの時点から10年が経過すると過払い金請求はできなくなります。
なお、取引の一連性は、空白期間の長さや双方の接触状況などを基に総合的な判断がなされます。
条件②請求できる権利を確認してから5年が経過
債権者との最後の取引から10年以内でも、時効が成立するケースがあります。
これは、2020年4月1日から施行された改正民法に、新たに追加された過払い金の時効に関する取り決めです。
つまり、2020年3月31日以前に借金を完済し、かつ過払い金が発生している場合は、旧民法の取り決めに則り「最後の取引から10年が経過」した時点で時効が成立することになります。

時効後に過払い金返還請求をする方法・条件
過払い金の時効は最後の取引から10年と決まっているため、完全に期限を迎えたものは原則請求できません。
しかし、取引の状態や条件によってはその限りではないため、諦める前に以下の点を確認してみてください。
- 時効の時期
- 不成立条件に該当していないか
- 貸金業者の取立てに違法性はなかったか
過払い金請求によって、大幅に借金を返済できる可能性もあるため、時効を過ぎていると思っている場合でも専門家に一度相談してみてください。
本当に時効を迎えているか確認する
過払い金の請求できる期間は「最後の取引日」が起算日となるため、最初の借入日ではありません。
このため、もし現在も返済しているなどの状態であれば、まだ期限を迎えていないことになるのです。
また、同じ貸金業者を繰り返し利用していた場合、過払い金の時効が不成立となっているケースもあります。
- 完済から6ヶ月以内の利用
- 契約書の内容が同じ(または条件が同一など)
上記のように過去の取引と関連する内容を含む場合は、その後の取引も「一連性がある」とみなされる可能性があります。
しかし、判断をおこなう裁判所によっても見解が異なるため、過払い金の請求ができるかどうかは法律事務所などで相談してみましょう。
起算日の勘違いもあるため「本当に時効を迎えているか?」については、法律の専門家の意見を聞いておいて損はありません。

貸金業者の対応でも時効は見直される?
過払い金の時効後にでも請求できる条件として、貸金業者の対応が悪質な場合は見直されるケースもあります。

次にお伝えする内容に該当するものがあれば、時効を過ぎていたとしても過払い金を請求できる可能性があります。
- 督促中の脅迫や暴行
- ヤミ金など法的根拠のない金利の請求
- 日に何度も電話や訪問で督促する行為
- 約束のない深夜・早朝などの時間帯の督促
過去の取引で不法行為による悪質な取立てをされていた場合は、その内容がわかる資料とともに弁護士さんに相談してみましょう。
過払い金の時効をストップさせる方法
「時効が目前に迫っていて、どうすればよいかわからない」という方も少なくないでしょう。

ここでは、過払い金の時効をストップあるいはリセットする方法について解説します。
- 貸金業者に過払い金返還請求書を送付する
- 裁判所に申し立てる
1.貸金業者に過払い金返還請求書を送付する
貸金業者宛てに過払い金返還請求書を送付することで、6か月間時効の進行をストップさせることができます。
過払い金返還請求書とは、利息の引き直し計算により算出した金額の返還を請求するための書類です。
弁護士へ相談すれば、貸金業者や裁判所とのやりとりを代行してもらえるので手続きが円滑に進みます。
出典:https://sugiyama-kabaraikin.com/stop/#flow020
2.裁判所に申し立てる
裁判所に訴訟を申し立て法的手続きを行えば時効の進行は一度リセットされ、債務者に過払い金請求権があるとの判決が確定した時点から、再び10年間の猶予が与えられます。

少額訴訟は、過払い金の額が60万円以下である場合に利用可能な裁判であり、一般的に1日で判決が出るため、裁判が長期化しないことが特徴です。
一方で過払い金額が60万円を超える場合は、数回の口頭弁論期日を経て判決に至る通常訴訟が行われることになります。
出典:https://realworld.co.jp/saimu/kabaraikin-jikou/
過払い金の時効が不成立になるケース
過払金が時効を迎える要件を満たしていたとしても、特定の条件下では時効が不成立となる場合があります。
時効が不成立となれば、過払い金請求によって払いすぎた利息が返還される可能性もあるため、ぜひチェックしておきましょう。
貸金業者による不正行為が行われていた場合
貸金業者による不正行為が行われていた場合は、時効の条件を満たしていても過払い金請求の権利が失われることはありません。
具体的には、以下のような行為が不正行為にあたります。
- 脅迫めいた借金の催促行為
- 非常識な頻度・手段での取り立て行為
- 法的金利を超過していると認識したうえで請求する行為
上で列挙した行為に事実証明できれば、例外的に「最後の取引から10年が経過」していたとしても過払い金を返還できる可能性があります。
借金完済後に再び借り入れをした場合
一度借金を完済した後に再び同じ貸金業者から借り入れをしていれば、一度目の借金完済から10年経過していたとしても、時効が成立していない可能性が考えられます。
これは、借金完済後に再び借り入れを行った場合に、二つの取引を同一視して過払い金を算出する一連計算が適用されるケースがことあることを論拠とする考え方です。
借金を完済していない場合
債権者との最後の取引が終了した日が時効の起算点になるため、借金を完済していなければ時効を迎えることはありません。

借金を支払い終えていないとしても過払い金返還請求はできますが、信用情報に事故情報が記録され、社会的信に傷がつく恐れがあります。
これにより、クレジットカードの強制解約を余儀なくされたり、特定の資格を用いた仕事ができなくなったりと、様々な不利益を被ることとなります。
過払い金を回収できる可能性が高い人の特徴
概ね以下の条件に当てはまっている方は、過払い金を回収できる可能性が高いと言えます。
- 2006年1月以前に借入をしたことがある人
- 借金を完済してから10年以内
ご自身が当てはまっているか確認してみてください。
2006年1月以前に借入をしたことがある人
正確には2006年1月13日以前に貸金業者から借り入れ経験がある人は、過払い金発生の可能性が高いです。

上限金利を取り締まる法律には、「利息制限法」と「出資法」の2つが存在します。
ところが、かつて2つの法律が定める上限金利は、利息制限法では年15~20.0%、出資法では年29.2%と大きく乖離しており、法的金利が曖昧な状態だったと言えるのです。
これにより、借金を返済できない債務者が増え、多重債務や自己破産に追い込まれる事例が散見されました。
グレーゾーン金利にまつわる諸問題を改善するべく、最高裁は2006年1月13日に利息制限法の年15~20.0%を超過する利息は過払い金とみなし、返還請求が可能であると判決を下しました。

法廷金利で借り入れをしていた場合は例外
2006年1月13日以前は、グレーゾーン金利で金利を設定していた貸金業者が多かったと述べましたが、中には法改正がなされる前から利息制限法の法廷金利を遵守していた貸金業者も存在します。
なお、法廷金利は元金が10万円未満であれば年20.0%、10~100万円未満であれば年18.0%、100万以上であれば年15.0%といったように、元金に応じて変動します。

出典:https://saimu.vbest.jp/columns/1986/
借金を完済してから10年以内
一部例外もありますが、原則的には借金完済から10年が経過すると過払い金請求ができなくなることを留意しておきましょう。
ただし、10年以上前の借金だからと言って、端から過払い金の回収を放棄していると大きく損する恐れがあるので、まずは返還請求が可能であるか専門家に確認するのがおすすめです。
過払い金の時効が成立間近なときの対処法
過払い金の存在を知って請求しようと思っても、時効の時期が迫っているということもあるかもしれません。
手続きに時間がかかることで諦める前に、時効のカウント自体を止める方法というものもあります。

過払い金の請求時効を止めるテクニック
成立が近い時効を止めるテクニックとして「過払い金返還請求書の送付」というやり方が有効的です。
過払い金の請求の手続きの流れとしては、まず計算のために各業者から取引履歴の取り寄せをおこないます。
この時点で「意思表示をしたから大丈夫」と勘違いしてしまいがちですが、実は取り寄せの段階では時効は止まりません。
取引履歴から正確な金額を算出して過払金返還請求書を送ることで、はじめて時効の期間を止めることができるのです。

過払い金の請求期間の時効はリセットできる?
裁判所に過払金返還請求訴訟を提訴すると、認められた時点で時効のカウントが止まり、判決次第では時効が10年延長されます。
しかし、訴訟を起こすというのは、個人でおこなうにはかなり難しく手間もかかる内容です。また、過払い金の請求をおこなうときは、必ず請求額の100%が返還されるものではありません。

そんなときも、結局は裁判を申し立てて請求することになるのですが、不慣れな個人が対応するのは日常生活にも影響しかねません。
過払い金の請求は請求する人によって金額が変わるともいわれ、返還される額にも違いが出てきます。
自分でやった方が費用がかからなくていいと思うかもしれませんが、かかる手間や戻る額を考えると任せた方が安上がりでしょう。
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過払い金の時効を完成させないだけでなく、請求そのものをスムーズにおこなうためにも、ぜひ専門家への相談をご検討ください。
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よくある質問
まとめ
今回は過払い金の時効が成立する条件や、時効の進行を止める方法について解説しました。
原則的には、債権者との最後の取引から10年が経過すると過払い金は時効となりますが、一部例外も存在します。
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執筆者情報 債務スタート編集部 |
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