
過去に消費者金融などで借り入れをしている人は、「過払い金」を受け取れる可能性があります。しかし、場合によっては過払い金が戻ってこないこともあるため注意が必要です。
過払い金について詳しく知らない人は、どのようなときに戻ってこないのか分からないでしょう。過払い金の請求を考えている人は、特徴や手続きの流れを押さえる必要があります。
また、借金問題に悩んでいる人は、債務整理についても把握しましょう。そこで今回は、過払い金が戻ってこない場合について解説します。

目次
過払い金が戻ってこない8つのケース
①貸金業法改正後に借り入れをした場合
過払い金は、貸金業者が定めたグレーゾーン金利により、利息制限法の上限を超えた利息を支払っていた場合に返還請求できます。
2010年6月18日に貸金業法が改正になり、出資法の上限金利は20%になりました。このことにより、グレーゾーン金利は撤廃になります。
つまり、貸金業法改正後に借り入れをした場合は、過払い金の対象であるグレーゾーン金利は含まれません。
過払い金の有無を調べるときは、まず2010年6月17日以前に借り入れを開始したかどうかをチェックしましょう。
②利息制限法内の金利設定である場合
貸金業法改正前に借り入れを開始している場合、過払い金が発生する可能性があります。しかし、借り入れする際の利息が、利息制限法の範囲内であれば過払い金は発生しません。
消費者金融やクレジットカードなどの貸金業者がそれぞれの利息を決めますが、それが適正内であれば「過払い」が発生しないため、過払い金は戻ってこないでしょう。
また、貸金業法は2010年に改正されましたが、多くの貸金業者は2007年あたりから自主的に金利を引き下げていました。
消費者金融などで借り入れをした詳しい時期が分からない際は、弁護士・司法書士の力を借りると良いでしょう。
③銀行から借り入れをした場合
銀行の住宅ローンや自動車ローンを利用している人は、借り入れ額が大きいため「過払い金も多いだろう」と考えるケースは少なくありません。
しかし、基本的に過払い金が発生するのは、消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用した場合です。そのため、銀行からの借り入れをした場合は、過払い金が発生しません。
他にも、銀行のカードローンを利用している人も多いでしょう。消費者金融のカードローンの借り入れをしている場合であれば、過払い金を請求できる場合があります。

④ショッピング枠内で借り入れをした場合
クレジットカードの利用でも過払い金を請求できますが、それは「キャッシング」を利用したときのみです。そのため、ショッピング枠内での利用は過払い金に該当しません。
どのクレジットカードでも利用できるショッピング枠は、借り入れのように感じる人は多いものの、実際には立て替え金です。その際に発生する金利は利息ではなく手数料に該当します。

⑤過払い金が相殺された場合
過払い金請求できる貸金業者との間で、2つ以上の取引があるとき「過払い金の相殺」が発生する可能性があります。
2つの取引のうち1つで過払い金が発生する案件があり、残りのもう1件は利息制限法の範囲内かつ残債があるときに、過払い金が発生します。
このように、まだ完済していない借り入れ額が過払い金を上回る場合においては相殺されるため、過払い金は戻ってきません。

⑥貸金業者が倒産した場合
過払い金は借り入れをしていた貸金業者に請求します。つまり、貸金業者が既に倒産していると請求できないため、過払い金は戻ってきません。
過払い金の請求が認められるようになったのは2006年頃であり、このあたりから貸金業者の倒産が増えています。
倒産すると請求先が無くなるため、過払い金の請求を考えている人は、貸金業者が倒産する前に手続きを進めなければなりません。
⑦借り入れ先が闇金の場合
借り入れ先が闇金業者の場合は、過払い金を請求しても戻ってきません。闇金業者は、貸金業者としての登録有無に関わらず、違法な金利で貸し付ける悪質な金融業者のことです。
通常は、総量規制により年収の1/3以上を超える借り入れはできません。しかし、闇金業者は違法に運営しているため、総量規制によってこれ以上借り入れできない人を標的にしています。
同様に、闇金業者の金利が法外に高い場合でも過払い金は戻ってこないため、弁護士などの専門家に相談する必要があります。
⑧既に時効が成立している場合
過払い金の請求には時効(請求期限)があり、それを過ぎていると手続きできません。過払い金の時効は最後の返済日から10年であるため、時効の成立前に請求する必要があります。
貸金業法の改正が2010年であったため、それよりも前から借り入れしており、2012年以降に返済している実績が求められます。

過払い金が戻ってくるまでの基本的な流れ
過払金は債務者自ら請求しなければ戻ってこないので、過払金の流れについて把握しておくことが必要です。そこで、ここでは過払金がどのような流れで戻ってくるのかについて紹介します。
- 取引履歴を入手する
- 過払い金を計算する
- 過払い金を請求する
- 貸金業者と交渉・裁判する
それでは1つずつ確認していきましょう。
1.取引履歴を入手する
まずは過払い金を請求できるかどうかを確認し、その金額を計算するために借り入れの「取引履歴」を入手しましょう。
取引履歴を入手するためには、貸金業者へ直接取り寄せます。場合によっては自宅以外にも、店舗で申し込みし受け取れるものもあります。
ただし、貸金業者によっては取引履歴の請求に手数料がかかることがあるため注意してください。取引履歴には金利・借入額・借入日・返済金額・返済日などが記載されています。

2.過払い金を計算する
取引履歴を入手した後は、記載されているデータをもとに過払い金を計算します。記載されている金額・金利の中から、過払い金に該当するものをチェックしましょう。
過払い金は利息制限法を超える金利に対して発生します。利息制限法では上限金利は次のように決められています。
- 借入額が10万円未満:上限金利は20%
- 借入額が10万円から100万円未満:上限金利は18%
- 100万円以上:上限金利は15%
出典:利息制限法
上限金利は借入額によって異なるため、借入額に対する金利が適しているかの確認が必要です。
過払い金の計算にかかる期間は、取引内容によって変わります。1日以内に完了するケースもあれば、取引が複雑な場合だと数日ほど時間がかかることもあるでしょう。
3.過払い金を請求する
計算が完了した後は、貸金業者に対して過払い金の返還請求を実施します。請求方法は「過払い金返還請求書」を作成し、内容証明郵便で送付します。
内容証明郵便は、費用はかかるものの郵便を出した内容や郵送した日にち、相手が受け取った日を郵便局が証明するものです。

4.貸金業者と交渉・裁判する
貸金業者が過払い金返還請求書を確認すると、請求者に連絡します。そこから、貸金業者との交渉が始まります。
過払い金の金額・返還方法・期限などについて交渉することが一般的です。双方が納得した場合は和解になり過払い金が返還されます。交渉には、1ヶ月から3ヶ月ほどかかります。
訴訟の場合は、交渉よりも費用・時間ともにかかりますが、返還される金額が大きくなります。状況によって訴訟期間は異なりますが、3ヶ月から1年ほどかかるケースが多いです。
過払い金を自ら返還してくれる場合とは
基本的に、過払い金は債務者側から請求しなければ戻ってきません。そのため、そのまま放置していると時効を迎えてしまい、請求自体を行えなくなります。
会社が倒産したとき、会社の資産・負債を裁判所に届け出る必要があり、その際に過払い金の有無が調査により分かります。
その後、過払い金の請求権がある人に通知が届くことで、貸金業者が自ら返還してくれる場合があります。

過払金が戻ってくるまでの期間を早める3つの方法
過払金請求をしたもののなかなか戻ってこない場合にはどのように対応すれば良いのか困りますよね?そのためここでは、過払金が戻ってくるまでの期間を早める方法についてご紹介します。
- 過払金請求の実績がある司法書士•弁護士に依頼する
- 債権者と話し合いで和解する
- 少額訴訟を行う
まだ過払金が返還されていないという方はぜひ参考にしてみてください。
過払い金請求の実績がある司法書士・弁護士に依頼する
過払い金の返還請求は、自分で手続きするよりも司法書士・弁護士に依頼をすることで、短期間で完了しやすくなります。
これは、過払い金を請求する際には書類を作成する必要があるため、専門的な知識が必要だからです。
その後も、貸金事業者との交渉も自分で行わなければならないため、時間がかかりやすいです。裁判に発展した際も、必要な書類の作成や手続きも自分で準備しなければなりません。
そこで、司法書士や弁護士などの専門家に依頼することで、必要な作業を代行してもらうことができ時間も短縮可能です。

債権者と話し合いで和解する
過払い金請求が完了するまでの期間は、「和解」と「訴訟」で大きく異なり、裁判に発展すると年単位の時間がかかる可能性があります。
ただし、和解する場合は訴訟時と比較すると返還される過払い金が少なくなる可能性があります。また、貸金業者によっては和解に応じず、裁判をしないと返還されないケースもあります。

少額訴訟を行う
少額訴訟とは、1回の期日で審理・判決をすることを原則とした特別な訴訟の手続きです。訴訟で支払いを求める金額が60万円以下の場合に限り利用できます。
過払い金の金額が60万円前後であり、短期間で解決したい場合におすすめです。しかし、過払い金が確定していない状態では、貸金業者が通常の裁判を申し立てる可能性があります。
過払い金が戻ってこない場合は債務整理をするのも手
過払い金の返還を求める人の中には現在も借り入れがあり、戻ってきた費用を返済に充てるケースは少なくありません。
そこで、過払い金が戻ってこず、借金問題に苦しんでいる場合は債務整理を検討することも1つの手段です。債務整理には以下3つの方法があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
それぞれどのような違いがあるのか、解説していきます。
任意整理
任意整理は貸金業者などの債権者と話し合い、借金を減額してもらったり、将来発生する利息をカットしてもらったりします。
ただし、法的な強制力はないため、債権者側が合意しなければ成立しません。また、信用情報に任意整理の記録が残るため、借り入れなどの審査に通りにくくなる点もデメリットです。
個人再生
個人再生は、裁判所に申し立てて借金を減額してもらう手続きです。返済の総額を5分の1〜10分の1程度に減額可能なため、大幅に負担を軽減することも期待できるでしょう。
ただし、返済を継続できる収入がないと、個人再生を利用できません。さらに、個人再生の手続きをした情報が官報に掲載される点もデメリットです。
自己破産
自己破産とは、裁判所に申し立てて借金の返済義務を免除してもらう手続きです。借金の金額に関わらず、全ての返済義務が無くなる点がメリットです
生活する上で必要最低限の財産は処分されませんが、財産の一部は失ってしまうでしょう。自己破産すると官報に掲載される他、一時的に特定の公的資格を要する仕事に就けなくなります。

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まとめ
この記事では、過払い金が戻ってこない場合について解説しました。過払い金はグレーゾーン金利で借り入れをしている場合に発生します。
そのため、貸金業法改正後に借り入れした場合や、銀行からの融資は該当しません。他にも、貸金業者が倒産している場合も対象外です。
また、過払い金の請求には時間がかかるため、短期間で返還してもらえる方法も押さえておきましょう。

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執筆者情報 債務スタート編集部 |
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