過払い金の調査方法は?期間や費用相場、メリット・デメリットも解説

過払い金とは、法廷金利を超過した金利に基づいて債権者(金融機関)に返済した借金を指します。

借金をしたことがある人なら、「過去の借金に過払い金は発生しているのだろうか?」「過払い金の調査はどうやってやる?」こういった疑問を感じたこともあるのではないでしょうか。

本記事では、過払い金調査の方法や、過払い金を調査するメリット・デメリットなどについて解説していきます。

過払い金調査を弁護士に依頼するメリットにも言及しているので、ぜひ参考にしてください。

過払い金の調査方法とは?

お金

過払い金調査の主な方法としては、以下の3つが挙げられます

過払い金調査の方法
  • 過払い金診断ツールを利用する
  • 取引履歴の開示請求を行う
  • 弁護士・司法書士に依頼する

では、それぞれ順に見ていきましょう。

※以下で紹介する調査方法の中には、過払い金の金額のみを調べるものも含まれています。

方法①過払い金チェッカーを使用する

Web上に存在する「過払い金チェッカー」を使用すれば、借入金額や金利、契約期間などの必要項目を入力するだけで、過払い金の金額を算出することができます。

ただし、結果はあくまでも概算であり、必ずしも正確な金額が算出されるわけではないことを留意しましょう。

無料でチェックできるため、簡単なセルフチェックとして活用してみると良いですね。

方法②取引履歴の開示請求を行う

ペンを持つ人

取引履歴とは、貸金業者との金銭のやりとりに関する記録や借金の契約内容を記載した書面のことです。

取引履歴を取り寄せれば、これまで何%の金利で借金を返済していたかが分かり、法廷金利を超過した金利に基づいて返済した金額を明らかにできます。

ただし、この方法で過払い金の金額を調べる場合、自身で現在の法的金利に合わせて利息を計算し直す「利息の引き直し計算」をする必要があります。

利息の引き直し計算は、決して簡単ではなく計算を誤ってしまうリスクがあることも認識しておきましょう。

また、もう1点留意しておくべきことがあります。

それは、取引履歴の開示請求を行う際に目的が過払い金請求であることを債権者に伝えると、過払い金の返還額が少なくなったり、過払い金請求自体できなくなったりする恐れがあることです。

民法705条には、「債務が存在しないことを知ったうえで、返済した金銭の返還を求めることはできない」といった旨が定められています。

 このことから、開示請求の目的が過払い金請求であることを明言してしまうと、債権者に以下のような主張をされる懸念があります。

過払い金請求目的で取引履歴の開示請求を行うと、「過払い金が発生していることを知りながら借金を返済していた」と判断される可能性があるのです。

こういった債権者の主張が裁判で認められるケースは多くないと考えられていますが、開示請求の目的を聞かれた場合には、過払い金請求するつもりでいることは伏せておくのが賢明な判断と言えます。

出典:過払い金調査は自分でできる?期間はどのくらい?費用や方法を解説‐司法書士法人みつ葉グループ

方法③弁護士・司法書士に依頼する

弁護士

前述したように、過払い金チェッカーや取引履歴の開示請求によって過払い金額を調べることは可能です。

とはいえ、過払い金チェッカーで分かるのは過払い金の概算のみですし、取引履歴の開示請求をして自身で利息の引き直し計算をする場合には、計算を間違えてしまうリスクがあることも否めません。

いずれの方法も、正確性に欠ける側面があります。

そこで、おすすめなのが弁護士や司法書士に過払い金調査を依頼することです。

 弁護士や司法書士に依頼すれば、取引履歴の開示請求から利息の引き直し計算まで代行してもらえるので自分ひとりで調査するよりも確実です。

本格的に過払い金請求する場合には費用が発生するものの、事務所によっては、調査のみであれば無料で受け付けているところもあります。

過払い金の調査で分かる3つのこと

過払い金の調査で分かることとしては、主に以下の3つが挙げられます。

過払い金の調査で分かること
  • 過払い金の発生有無
  • 過払い金の金額
  • 過払い金請求が可能であるか

一つずつ見ていきましょう。

過払い金の発生有無

電卓

過払い金発生の条件については後述しますが、過払い金は全ての借金に対して発生しているわけではありません。

過払い金調査を実施すれば、過払い金が発生しているかどうかを確認することが可能です。

過払い金の金額

債権者に対して過払い金の返還を請求するには、発生している過払い金の金額を明らかにする必要があります。

 過払い金請求する際に、債権者に送付する過払い金返還請求書には、過払い金の返還を求める旨と過払い金の金額を明記する必要があるためです。

過払い金調査によって、過去の借金に対して過払い金が概ねいくら発生しているのか確認できます。

過払い金請求が可能であるか

積まれたコイン

過払い金が発生していても、過払い金請求できない場合があります。具体的には、以下の二つの条件に該当する場合には、過払い金請求は原則不可能です。

過払い金請求ができない場合
  • 過払い金が時効を迎えている
  • 請求先の金融機関が倒産している

一つずつ解説していきます。

過払い金が時効を迎えている

過払い金の請求権には時効が存在します。

民法166条第1項に時効の条件が記載されていますが、その内容を要約すると、以下のいずれかに該当する場合は法的な権利が消滅し行使できなくなります。

時効の条件
  1. 権利を行使できると知ってから5年経過
  2. 権利を行使できる時から10年経過

一定期間行使しなかった権利は消滅してしまうのです。過払い金の返還を求める権利は、法律上「不当利得返還請求権」にあたります。

不当利得返還請求権とは?
正当な理由なしに他人へ損失を与える代わりに得た利益(不当利得)の返還を求める権利を指します。

時効の条件を満たすと不当利得返還請求権が消滅し、過払い金請求ができなくなるのです。

なお、時効へのカウントダウンがスタートする「起算日」がいつになるかに関しては、債権者との取引の回数や借入額などによって異なります

そのため、時効が成立しているか確認したい場合には、弁護士に相談するのがおすすめです。

請求先の金融機関が倒産している

金融機関が倒産している場合にも、過払い金請求はできないのが原則です。

返還されるはずだった過払い金のかわりに、「配当」という形で現金を受け取れるものの、配当率は過払い金額の10%を下回るケースがほとんどです。

過払い金の調査にかかる費用相場

コインを積む人

過払い金チェッカ―などを用い自分で調査する分には無料ですが、弁護士に依頼する場合には費用が発生します。

費用の内訳としては以下のようなものが挙げられます。

費用の内訳 概要 費用相場
相談料 相談時に発生する費用 0~5,000円程度
着手金 過払い金請求を依頼した場合に発生する費用 1社あたり10,000~20,000円程度
基本報酬 過払い金請求自体にかかる費用 1社あたり20,000~30,000円程度
成功報酬 案件が完了した際に発生する費用 20,000円程度
過払い金報酬 返還された金額に応じて発生する費用 返還された過払い金の20~25%程度
実費 郵便切手代や裁判の手数料など 場合による
その他 事務所の出張費用など 場合による

前述の通り、過払い金の金額に関する調査のみであれば無料で対応してくれる場合もありますが、事務所ごとに料金設定や方針は異なります。

出典:過払い金請求にかかる費用の相場と依頼する事務所を選ぶポイント – 司法書士法人杉山事務所

過払い金請求の流れを解説

過払い金請求は自分でもおこなえますが、専門家に依頼した方がスムーズかつ確実です。弁護士や司法書士に過払い金請求を依頼した場合、以下のような流れとなります。

過払い金請求の流れ
  1. 弁護士・司法書士に相談
  2. 受任通知の送付・取引履歴の開示請求
  3. 引き直し計算・過払い金返還を請求
  4. 訴訟提起
  5. 過払い金を受け取る

それでは、各手続きをみていきましょう。

1.弁護士・司法書士に相談

 電話やメールで弁護士や司法書士に問合せします。過払い金の有無は、Web上でも簡易的な診断が可能です。

過払い金請求を弁護士や司法書士に相談する際は、借入先の名前や取引期間、借金残高を伝えましょう。

実際に面談する場合、免許証や保険証といった身分証明書を持参し、借入状況を詳しくヒアリングします。

2.受任通知の送付・取引履歴の開示請求

お金

正式に依頼する場合、弁護士・司法書士と委任契約を締結します。委任契約を締結したら、債権者に対して受任通知を送付し、一緒に取引履歴の開示請求を実施。

過払い金請求をおこなう際は、借金に関する書類を準備しておいた方がスムーズですが、書類がなくても、取引履歴を債権者から取り寄せられるため問題ありません。

なお、取引履歴の開示には約1~3カ月ほどの期間が必要となります。

3.引き直し計算・過払い金返還を請求

 取り寄せた取引履歴をもとに、利息制限法の上限金利(15~20%)に合わせて利息を再計算します。

引き直し計算によって過払い金が発生していた場合には、債権者に対して過払い金請求が可能です。

弁護士や司法書士が債権者に対して、「過払い金返還請求書」と「日引き直し計算書」を送付。その後、債権者との交渉をおこないます。

4.訴訟提起

書類に記入する人

債権者が交渉に応じない場合やうまく話がまとまらない場合には、訴訟を提起します。

次に、第一回行動弁論期日までに、債権者からの反論が記載している答弁書が送付されます。

 

そして、約1カ月に1度おこなう口頭弁論でお互いの意見を主張し、裁判所が最終的には和解勧告をおこない裁判が終了となる流れです。

過払い金額が140万円以下の場合には簡易裁判所に訴訟を提起し、140万円以上の場合には地方裁判所に訴訟を提起します。

訴訟を提起する場合は、訴訟や証書を作成し、裁判所へ提出しなければなりません。

5.過払い金を受け取る

債権者の合意を得られれば、指定日までに過払い金を受け取れます。

 弁護士や司法書士に債権者から過払い金が送金され、依頼費用を差し引いた金額を依頼者は受け取る仕組みです。

手元に資金がない場合でも、依頼費用は過払い金から差し引かれるため、急いお金を用意する必要はありません。

過払い金の調査に必要な期間

スマートフォンを持つ人

過払い金チェッカーを利用して過払い金の概算を出すだけなら、必要項目を入力するだけで良いので、5分もかからずに終わります

一方、取引履歴の開示請求をもとに利息の引き直し計算をする場合には、金融機関によって開示までの期間が異なるため一概には言えませんが、1~3週間ほどかかるのが通常です。

 ただし、利息の引き直し計算が上手くいかず調査期間が長くなるケースも想定されるため、可能な限り早く正確に調査を終えるには弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。

出典:過払い金の調査をする前に知っておくべきこと‐杉山事務所 

過払い金調査で必要なもの

借金の踏み倒しをする

過払い金請求は自分でやることもできますが、引き直し計算などの複雑な部分もあるため、専門家である弁護士や司法書士に依頼することをおすすめします。

弁護士や司法書士に過払い金請求する際は下記の書類が必要です。

弁護士・司法書士に過払い金調査を依頼する際に必要な書類
  1. 身分証明書
  2. 印鑑
  3. 取引明細書
  4. 契約書

身分証明書としては、運転免許証やパスポートなどが該当します。印鑑に関しては、基本的にシャチハタは認められていません。

借入先との契約書があれば、それをもとに借入先の名前や数、契約日、借入日数、金利などを調査します。

借り入れる際や返済した際の取引明細書があれば、契約書がない場合でも取引情報の確認が可能です。

過払い金請求する際の注意点

お金

メリットが目立つ過払い金請求ですが、まったくリスクがないというわけではありません。過払い金請求には、次のようなリスクや注意点があることも知っておきましょう。

過払い金請求の注意点
  • 過払い金請求をおこなった金融機関との関係性が悪くなる可能性がある
  • 信用情報に事故履歴が残る可能性がある
  • 家族など身近な人への借金がバレる可能性がある
  • 金融機関との交渉次第では取り戻せないこともある
  • 時間がかかりすぎると取り戻せないこともある

それぞれの内容について、ここから詳しく解説していきます。

過払い金請求をおこなった金融機関との関係性が悪くなる可能性がある

過払い金請求をおこなった金融機関との関係性が悪くなってしまうため、同じところから新たな借入をするのはかなり難しくなります。

 また、相手がクレジットカード会社の場合は、同じ会社のカードの利用ができなくなることもあり、公共料金などの決済に利用しているときは注意が必要です。

各社の独自判断になるため絶対とまでは言えませんが、同じ会社からの新たな借入やカードの新規発行への期待は、あまり持たない方がよいでしょう。

信用情報に事故履歴が残る可能性がある

過払い金請求をおこなうと、条件によっては個人信用情報に金融事故としての履歴が残り、新たな貸付やクレジットカードの作成が難しくなることがあります。

 通称「ブラックリストに載る」と言われる状態で、金融機関が審査に利用する情報機関のなかで”債務整理をした人”というのがわかるのです。

履歴が消えるまでには債務整理した内容により5〜10年かかり、その期間は新たなローンを組むのはかなり難しくなるでしょう。

ただ、過払い金請求後の状態によっては、ブラックリストに載らないケースもあります。

ブラックリストに載らないケースとは?

過払い金請求でブラックリストに載らないケースとは、過払い金で債務を完済したときです。過払い金の精算によって債務を完済したときには、信用情報に事故履歴は残りません。

ただし、過払い金請求後にも債務が残るときには、信用情報には事故履歴として載ります。

過払い金で債務が完済できるかどうかは、請求をおこなう前に弁護士さんによく相談して、しっかり確認しておきましょう。

家族など身近な人への借金がバレる可能性がある

結婚で借金の踏み倒しをする

とくに個人で過払い金請求の手続きをおこなうと、郵送物だけでも身近な人に借金がバレる可能性は高くなるでしょう。

 過払い金請求は、調査の段階でも取引履歴を取り寄せたり、相手先からの連絡も受けねばならなかったりしますし、訴訟になれば裁判所からの書類が届く場合もあります。

また、仮に交渉がうまくいって過払い金が通帳へ振込まれても、なにかの際に履歴から家族や職場にバレることも考えられます。

過払い金請求を身近な人にバレたくない人には、弁護士に依頼するという手段がおすすめです。

相手先の金融機関との連絡はもちろん、裁判所からの郵送物なども受け取ってもらえる窓口になるため、家族にも借金がバレる心配がありません。

金融機関との交渉次第では取り戻せないこともある

 金融機関との交渉がスムーズにいかないと、過払い金が取り戻せないこともあります。

また、なかには交渉にまったく応じない金融機関もあり、そのときは過払い請求訴訟を提起して解決するしかありません。

過払い請求訴訟では、相手先となる金融機関と直接裁判所で争うことになるため、個人で対応するのはさらに難しくなるでしょう。

時間がかかりすぎると取り戻せないこともある

 過払い金請求には「最後の取引から10年」という時効があり、請求までに時間がかかりすぎると過払い金が取り戻せなくなることがあります。

さらに、請求に時間がかかると相手先の金融機関が倒産してしまうリスクもあり、この場合はたとえ過払い金があっても回収はできません。

複雑な過払い金請求の手続きや、金融機関との交渉をスムーズにおこなうためにも、債務整理に慣れた弁護士に任せることをおすすめします。

過払い金を調査するメリット・デメリット

ここまで過払い金調調査の方法や期間などについて解説してきました。本項では、実際に過払い金調査を実施するメリット・デメリットについて言及します。

メリット

コインと新芽

過払い金調査をするメリットとしては、主に以下の2つが挙げられます。

過払い金を調査するメリット
  • 無料で調査できる可能性がある
  • 時効の成立を回避できる可能性がある

前述したように弁護士に調査を依頼する場合でも、無料で対応してもらえる可能性があります。

無料の過払い金調査となれば、過払い金の発生有無を調べる程度のものになるケースが多いことは否定できません。

 しかし中には、取引履歴の開示請求から利息の引き直し計算まで無料で受け付けている弁護士事務所も存在します。

過払い金が発生していることを知らなければ、そのまま時効を迎えてしまい取り戻せたはずの過払い金を失う恐れがありますが、過払い金調査を実施すれば時効の成立を回避できる可能性があります

過払い金調査によって過払い金の金額および過払い金請求権を有していることが分かれば、迅速に手続きの準備を進め、時効成立前に過払い金請求を実施することが可能です。

デメリット

電卓

過払い金調査をするのに費用が発生することや、取引履歴の開示請求の際に前述したような注意点があることなどをデメリットと捉えることもできますが、それ以外に特筆するべきデメリットはありません。

過払い金調査をしたからと言って、社会的信用に悪影響が及ぶこともありません。

ただし、実際に過払い請求を行うと、状況によっては債務者に不都合が生じる可能性が考えられます。以下で詳しく解説していきます。

過払い金請求すると不都合が生じるケースもある

借金の返済が終わっている金融機関に対して過払い金請求する分には特段問題ないのですが、借金返済中の金融機関に対して過払い金請求をすると、信用情報に事故情報として登録される恐れがあります。

信用情報とは?
信用情報機関に保存される個人の借入や返済、クレジットカード発行履歴などの情報を指します。個人の信用力を客観的に評価するための指標になります。

事故情報は、借金の滞納履歴や債務整理の記録などに代表される、金融事故に関する情報のことです。

 事故情報が登録されている期間は、社会的信用力を大きく損なうことで、クレジットカードの利用や金融機関から借入などが原則的にできなくなります。

本来、過払い金請求は事故情報として登録される行為ではありません。

ところが、借金返済中に過払い金請求すると過払い金が借金の返済に充当され、債務減免を目的とした債務整理の一種である任意整理として扱われてしまうのです。

結果、信用情報機関に約5年間事故情報が登録されることとなります。

ただし、借金返済中に過払い金請求をしても、過払い金を返済に充てたことで借金を完済した場合には事情が異なります。

この場合、手続き期間中である約半年~1年ほどは事故情報が登録される可能性があるものの、手続きが終了すれば情報が消去されるのが通常です。

出典:任意整理の事故情報はいつから5年で消える? 弁護士が解説‐債務整理・借金問題‐ベリーベスト法律事務所 

調査前に要チェック!過払い金の発生条件

コインに座る人

先に軽く触れましたが、過払い金は全ての借金に発生しているわけではありません。調査を徒労に終わらないために、過払い金が発生する条件も把握しておきましょう。

具体的には、以下の条件に当てはまる場合に、過払い金が発生している可能性が考えられます。

過払い金が発生する条件
  • 2010年6月17日以前に借入している
  • グレーゾーン金利での借入経験がある

前述の通り、法廷金利を超過した金利帯に基づいて債権者に返済した借金が過払い金です。

ここに説明を加えれば、「利息制限法」と「出資法」それぞれが定める上限金利の中間にある金利帯、俗に言う「グレーゾーン金利」に基づいて返済した利息が過払い金の正体と言えます。

さて、過払い金発生の条件を理解するには、なぜグレーゾーン金利が存在したのかを知る必要があります。

2010年6月17日まで、利息制限法の上限金利が年15~20%、出資法の上限金利が年29.2%であり、出資法に抵触した場合にのみ刑事罰が課されるといった状況でした。

 言ってしまえば、こういった法律の欠陥がグレーゾーン金利での貸し付けをひき起こした要因です。

2010年6月18日に出資法の上限金利が年20%に引き下げられてからは、グレーゾーン金利での貸し付けは不可能になりました。

したがって、2010年6月17日以前に金融機関から借金し、グレーゾーン金利に基づいて返済している場合には過払い金が発生している可能性があると言えます。

出典:過払い金とは?発生条件と返還請求方法、気になるリスクや時効も解説‐司法書士法人みつ葉グループ

過払い金調査は弁護士への相談がおすすめ

弁護士

前項で、過払い金調査を弁護士・司法書士に依頼するメリットを解説しました。

そこで本項では、過払い金請求前提で過払い金調査をする際に弁護士に相談するのがおすすめな理由について、弁護士と司法書士の可能な業務の違いに着目しながら解説していきます。

弁護士とは異なり、司法書士(認定司法書士)には以下のような業務制限があります。

司法書士の業務制限
  • 訴額が140万円を超える案件を取り扱えない
  • 簡易裁判所以外で訴訟代理ができない

訴額とは、訴訟の目的物を金銭的な価値に換算した際の金額を指します。過払い金請求の場合は、債務額が訴額にあたります。

ただし、訴額は複数の金融機関からの債務額を合計した金額で判断されるわけではありません。あくまで、金融機関ごとの債務額が基準です。

つまり、金融機関Aから170万円、Bから120万円、Cから130万円を借り入れていた場合には、金融機関Aのみ訴額が140万円を超えていることから、司法書士には過払い金請求を依頼できないということです。

 また、訴額が140万円を超える案件であっても、過払い金請求の裁判が簡易裁判所では決着がつかず債権者が上訴した場合には、控訴審などに移行するため司法書士が対応するのは難しくなってきます。

この場合、弁護士に依頼し直す必要が生じるでしょう。こういった弁護士・司法書士の業務範囲の違いを考えれば、弁護士に依頼するのが無難と言えます。

とはいえ、債務額や請求相手である金融機関の対応などによっても最適な判断は異なるため、必ずしも弁護士に依頼するのが良いわけではありません。

訴額が140万円以下であれば司法書士に依頼することは可能ですし、過払い金請求が裁判に発展せず話し合いのみで和解するケースや、裁判に発展したものの第一審で解決するケースも想定されます。

 加えて、司法書士の方が依頼費用が安い場合もあります。

まずは弁護士・司法書士に無料相談を申込み、今後どのように手続きを進めるべきかアドバイスを受けるのがおすすめです。

費用や債務額を考慮しながら、弁護士・司法書士のどちらに依頼するか決めると良いでしょう。

出典:司法書士が扱える140万円の判断基準と具体例 ‐杉山事務所

過払い金調査を依頼する弁護士の選び方

握手する人達

過払い金調査を依頼する弁護士を選ぶポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

弁護士の選び方
  • 過払い金請求を得意としている

  • 過払い金請求の実績が豊富

  • 事務所の口コミや評価が良い

一つずつ見ていきましょう。

過払い金請求を得意としている

弁護士事務所には各々得意分野が存在します。離婚問題を得意としている弁護士事務所があれば、IT法務に特化した弁護士事務所も存在します。

決して、弁護士事務所であればどこに依頼しても良いわけではないのです。

無論、過払い金請求をスムーズに進めできるだけ多くの金額を回収するには、過払い金請求を得意とする弁護士事務所に依頼するのが効果的です。

過払い金請求の実績が豊富

スーツの人物

過払い金請求が得意と謳っている事務所が複数見つかった場合には、過払い金請求の実績がどれだけあるか確認しましょう。

事務所の公式サイトなどに掲載されている「過払い金請求の相談件」や「過払い金請求の返還実績」などを参考に、実績が豊富な弁護士事務所を選ぶのがおすすめです。

口コミの評価が良い

弁護士事務所の公式サイトに掲載されている情報だけでなく、口コミや評価を確認することも重要です。

過払い金を得意分野としている事務所でも、相談者の口コミがあまりにも悪い場合には依頼を避けた方が良いかもしれません。

 反対に、口コミが良く相談者の満足度が高い場合には、それだけで依頼することを決めるのは早いにしても相談しに行く価値は十分にあります。

Web上の口コミには偏った意見もあり、信憑性が高いとは言えませんが、事務所のリアルな評価を知るための一つの指標としては参考になるでしょう。

過払い金請求に強いおすすめの弁護士・司法書士事務所5選

東京ロータス法律事務所

東京ロータス法律事務所

東京ロータス法律事務所の特徴
  • 債務整理の事案を数多く手がけた経験と実績
  • 土日祝日も電話対応OK
  • 借金問題の相談料は無料

東京ロータス法律事務所は、債務整理事案を数多く手がけた実績があるので、ノウハウを持っており、ひとりひとりの事情に応じた解決策を提案してくれます

 借金問題の相談料は無料なので、弁護士に依頼するお金がないという場合でも相談可能です。

電話相談には電話代がかからないので、じっくりと納得のいくまで相談できます。

電話相談は土日祝日も対応しているので、平日は仕事で忙しい方も安心です。

相談料

無料
任意整理の費用

着手金・報酬金:22,000円

減額報酬:11%

自己破産の費用 着手金・報酬金:220,000円~
個人再生の費用 着手金・報酬金:330,000円~
過払い金の費用

着手金・報酬金:無料

過払い金報酬:返還額の22%

所在地 東京都台東区東上野1丁目13番2号成田第二ビル2階
主な対応業務 債務整理・交通事故・労働問題・債権回収・相続問題・不動産トラブル

出典:http://tokyo-lawtas.com/ ※価格は全て税込です。

ひばり法律事務所

ひばり法律事務所

ひばり法律事務所の特徴
  • わかりやすいコラムで予備知識を得られる
  • 25年以上の実績のある弁護士が運営
  • 女性の弁護士が在籍している

ひばり法律事務所は、2020年7月に個人事務所「名村弁護士事務所」から弁護士法人事務所「ひばり法律事務所」に組織変更した法律事務所です。

 25年以上の経験と実績のある弁護士が所属しており、さまざまなケースに適切な対応が可能です。

「ご相談者様の立場に立って、親身になって業務をすること」を基本理念として掲げており、一人ひとりに合った解決策を提案してくれます。

女性の弁護士も在籍しているため、女性に相談したい人にもおすすめです。
相談料 無料
任意整理の費用 着手金・報酬金:22,000円
自己破産の費用 着手金・報酬金:220,000円~
個人再生の費用

着手金:330,000円~

報酬金:220,000円~

過払い金の費用

着手金:0円

報酬金:0円~

成功報酬:回収金の22%(訴訟は27.5%)+実費

所在地 東京都墨田区江東橋4丁目22-4 第一東永ビル6階
主な対応業務 借金問題・サイト被害・離婚・相続

出典:https://www.hibari-law.net/ ※価格は全て税込です。

はたの法務事務所

はたの法務事務所の特徴
  • 相談料・着手金が無料
  • 何回でも無料で相談ができる!
  • 全国どこでも無料で出張
  • 20万件以上の相談実績

はたの法務事務所は、司法書士の事務所です。全国の指定した場所に無料出張してくれるので、家事や育児の合間に相談も可能です。

 相談料や着手金が無料で、相談は何回でも無料です。さらに費用の分割払いや過払い金を無料で調べるサービスも行っています。

これまで20万件以上に対応した実績と経験があり、満足度も95.2%※1と高水準です。土日祝日も電話相談が可能なので、平日は忙しくて時間が取れないという人にもおすすめです。

費用の分割払いもできるので、手持ちのお金がないという場合にも安心です。

※1公式サイトより

相談料・着手金 無料
任意整理の費用

基本報酬:20,000円〜

減額報酬:減額できた金額の10%

自己破産の費用 報酬:30万円~(少額管財事件は+20万円~)
個人再生の費用 報酬:35万円~(再生委員に支払う費用+20万円~)
過払い金の費用

基本報酬:無料

過払い報酬:取り戻した過払い金額の20%。※10万円以下の場合は12.8%(+1万円の計算費用)

所在地(東京本店) 東京都杉並区荻窪5-16-12 荻窪NKビル5階・6階
主な対応業務 債務整理・過払金請求・登記業務

出典:https://hatano-saimuseiri.net/lp4_aff/ ※価格は全て税込です。

弁護士法人・響

弁護士法人・響

弁護士法人・響の特徴
  • 多くの弁護士が在籍
  • 進捗状況をこまめに連絡
  • 依頼前にかかる費用を明示

弁護士法人・響は、お客様に寄り添った解決を第一の目標としている法律事務所です。納得いくまでわかりやすく方針を説明してくれるだけでなく、進捗状況もこまめに連絡してくれます。

 24時間365日相談受付しており、全国にも対応しているので、近くに任せられる法律事務所がない場合にもおすすめです。

多くの弁護士が在籍しており、担当弁護士だけでなくチーム全体で取り組んでくれるので、問題解決力も高いです。

依頼前に費用をきちんと明示してくれるので、説明されていない追加料金が発生する不安がないのも魅力です。
相談料 無料
任意整理の費用

着手金:55,000円〜

報酬金:11,000円〜

減額報酬金:減額分の11%

自己破産の費用

着手金:33万円〜

報酬金:22万円〜

個人再生の費用

着手金:33万円〜

報酬金:33万円〜※住宅なし:22万円〜

過払い金の費用

着手金:無料

解決報酬金:22,000円

過払報酬金:返還額の22%(訴訟:27.5%)

所在地(西新宿オフィス) 東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー14階
主な対応業務 債務整理・交通事故・相続・離婚

出典:https://hibiki-law.or.jp/ ※価格は全て税込です。

弁護士法人ユア・エース

弁護士法人ユア・エース

弁護士法人ユア・エースの特徴
  • 専門チームでの迅速な対応
  • 諦めずに戦い続ける姿勢
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相談料 無料
任意整理の着手金・報酬金

着手金:55,000円~

和解報酬:11,000円~

減額報酬:減額分の11%

過払い報酬:返還額の22%※訴訟の場合は27.5%

自己破産の着手金 605,000円~
個人再生の着手金 715,000円~※住宅ローンなし:605,000円~
過払い金の成功報酬

着手金:無料

報酬金:返還額の22%※訴訟の場合は27.5%

所在地 東京都中央区日本橋堀留町2-3-14 堀留THビル10階
主な対応業務 債務整理・交通事故・相続・離婚・労働紛争

出典:公式サイト ※価格は全て税込です。

よくある質問

過払い金の調査にはどれくらい時間がかかる?
過払い金の調査には、大体2週間~3カ月の時間がかかります。貸金業者によっては、さらに時間を必要とする場合もあるでしょう。過払い金が発生している可能性がある場合は、できるだけ早めに専門家へ相談すべきです。
過払い金を調査するとブラックリストに載る?
過払い金を調査しただけでは、ブラックリストに載りません。完済した借金の過払い金請求をおこなった場合も、ブラックリストに載らないため安心してください。また、過払い金請求によって借金を完済した場合も、ブラックリストには載りません。ただし、過払い金請求後に借金が残っている場合は、信用情報に事故情報が載る状態(いわゆるブラックリスト状態)となります。
借入先を忘れたが、過払い金は調査できる?
借入先の情報がまったくない状態では、過払い金請求は難しいといえます。弁護士や司法書士は、何も情報がない状態では過払い金の有無を確認できません。過払い金請求を相談する際は、借入先の名前や使用していたカードは最低限準備しておきましょう。
過払い金請求で借金は減らせる?
取り戻した過払い金の用途は自由なため、借金返済に充てることが可能です。過払い金で借金を完済できれば、信用情報機関に載ることもありませんし、素早い借金問題の解決ができます。
倒産した貸金業者から過払い金は取り戻せる?
残念ながら、倒産した貸金業者から過払い金は取り戻せません。とはいえ、倒産後すぐに過払い金請求ができなくなるわけではなく、一定の猶予期間が設けられています。猶予期間を過ぎると過払い金請求ができなくなるため、注意が必要です。経営難により倒産している貸金業者は年々現れているため、多額の過払い金が判明しても、取り戻せなくなる可能性があります。過払い金が発生している疑いがある方は、できるだけ早めに専門家へ相談しましょう。
複数の弁護士・司法書士に過払い金の調査を依頼しても問題ない?
過払い金の調査は、複数の弁護士や司法書士に依頼しても問題ありません。ただし、債権者との交渉は複数の弁護士・司法書士が同時におこなうことはできません。複数の専門家へ相談し、最終的には信頼できる弁護士や司法書士に過払い金請求を依頼しましょう。

まとめ

過払い金調査を実施すれば、過払い金の発生有無や金額、過払い金請求が可能であるかを確認できます。

調査の具体的な方法としては、過払い金チェッカーを利用する方法や、取引履歴をもとに利息の引き直し計算を行う方法、弁護士・司法書士に依頼する方法などが挙げられます。

 過払い金チェッカーを利用すれば、短時間でだいたいの過払い金額を計算できますが、正確な金額を割り出すことは困難です。

自身で利息の引き直し計算をする場合には、計算を間違えてしまいスムーズに過払い金請求できない恐れがあるため、弁護士や司法書士に依頼して調査してもらうのがおすすめです。

記事内では無料相談を実施している弁護士・司法書士事務所を紹介したため、それぞれを比較しながら自分に合った事務所を見つけてみてください。

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債務スタート編集部

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