
個人再生は、法律に基づき借金に苦しんでいる状況を打開する一つの策です。借金がすべてなくなる訳ではありませんが、大幅に減額されることから生活の立て直しが期待できます。
しかし、必ずしも個人再生の申し立てをして認められるとは言えないため、どれくらいの確率で成功するかは気になるところです。
そこで今回は、個人再生の成功率について詳しく解説します。
- 個人再生の成功率
- 個人再生が失敗するケース
- 個人再生の成功率を上げるための方法
個人再生に失敗してしまった時の対処法についても触れていくため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
個人再生とは
個人再生とは、借金を大幅に減額して原則3年間で分割し返済していく手続きです。
抱えている借金がすべてなくなる訳ではないものの、大きな減額に繋がることから生活再建も見込めます。なお、減額の程度は保有する財産で異なります。
減額された借金を完済すると、再生計画に則り対象となったものについては、原則法律上の返済義務が免除となるのです。
個人再生と似た「自己破産」は、住宅・車などの高価な財産は処分されます。その代わり、借金は全額免除となる手続きです。
また、自己破産は手続きをすると一定の職業に就けなくなりますが、個人再生は資格制限がないため、安心して就業し続けられる点も違いとして挙げられます。
これらの要素から、借金を大幅に減額しなければ返済は困難だが、高価な財産を所有している、自己破産をすると今の職を失ってしまう人などに向いている手続きと言えるでしょう。
個人再生の成功率
裁判所の発表によると、令和元年の個人再生状況は以下の数値となっています。個人再生の成功率を、データから導き出していきましょう。
総数 | 12,628件 |
---|---|
再生手続廃止 | 312件 |
再生手続不認可 | 41件 |
再生手続取消し | – |
再生手続終結 | 11,860件 |
棄却又は却下 | 32件 |
取下げ | 355件 |
その他 | 28件 |
上記表のデータから、個人再生の成功率は約93.9%という数値になります。非常に高い成功率を誇っていることがわかる結果です。
借金に苦しんでいる場合、これだけ成功率が高ければ精神的負担も軽減されるという期待は持てます。ただし、これはあくまで過去の事例に基づき算出された数値です。
自分の事例が必ずしも終結となり、個人再生が認められるとは限りません。

「取下げ」は失敗とは限らない
「第109表 再生既済事件数―事件の種類及び終局区分別―全地方裁判所」による「取下げ」は、令和元年で355件あります。一見、取下げということは失敗したと捉えられます。
個人再生を検討していた人(債務者)の経済状況が改善されたことで、個人再生の必要がなくなったケースもあります。
「取下げ=個人再生失敗」にはならない点も、高い成功率に繋がった要素の一つです。
出典:第109表 再生既済事件数―事件の種類及び終局区分別―全地方裁判所
個人再生が失敗するケース
申立てが認められない
個人再生の手続きをしても、必ず認められるとは限りません。申立てが認められないケースとして、主に以下の要因が挙げられます。
- 再生計画に則り返済ができる収入がない
- 住宅ローンを除いて借金総額が5,000万円以上ある
- 債権者の過半数から申立てが認められない
- 過去7年以内に個人再生・自己破産手続きの免責決定がされている
個人再生の手続きをするには、条件をクリアしておく必要があります。つまり、誰でも借金を抱えているからと言い個人再生ができる訳ではないのです。
手続き中の問題で打ち切りとなる
手続きをスタートしても、途中で問題が発生すると打ち切りになるケースがあります。手続きがストップしてしまう原因は、主に以下が挙げられるためチェックしておいてください。
- 再生計画の提出期限に間に合わなかった
- 再生計画に問題があり認められない
再生計画の提出期限に間に合わなかった
個人再生を認めてもらうためには、再生計画案を裁判所へ提出します。その再生計画案の提出が期限に間に合わなかった場合は、手続きは強制的に打ち切られるのです。
例え一日でも提出が遅れると受け付けられないため、余裕を持って手続きは進めましょう。

再生計画に問題があり認められない
再生計画に問題がある場合も手続きは打ち切りとなるケースがあります。裁判所が提出された再生計画を確認し、それ通りに返済できないとなれば認められません。
- 安定した収入がない
- 個人再生で減額対象とならない借金がある
いくら再生計画を立てて裁判所に提出したとしても、収入がなく返済できないと判断されれば、手続きは打ち切りとなる可能性があります。
返済できる収入状況でなければ、いくら再生計画を立てても債権者に反対されると個人再生は成立しません。
さらに、返済額の算定ミスも打ち切りの要因となり得るため、事前に把握しておくことをおすすめします。
不正が発覚した場合
個人再生の手続きを進めている途中、あるいは裁判所や債権者から認められてからでも、仮に不正が発覚すると打ち切りとなります。主な不正として、以下が挙げられるため要チェックです。
- 財産があるにも関わらず隠していた
- 脅迫・詐欺で得たお金を返済に充てていた
- 賄賂で返済していた
返済できるだけの力があるにも関わらず、それを隠して個人再生の手続きをしていた場合は、当然ですが認められません。不正は必ず発覚するため、小細工は辞めましょう。
債権者から破産の申し立てをされている
なかには、債権者が債務者に代わり破産申し立てをする場合があります。いくら債務者が個人再生の手続きを検討していても、先に債権者から破産申し立てがあればそちらが優先されるのです。
つまり、いくらきっちりとした再生計画案を立てて裁判所に提出しようが、個人再生は認められません。そもそも、手続きにすら進めない状況と言えるでしょう。

個人再生に失敗するとどうなる?
借金は減額されない
個人再生の手続きに失敗すると、当然ながら抱えている借金は減額されません。借金が一切減らないため、今まで通り苦しい日々を過ごすことになります。
また、個人再生をすると弁護士・司法書士から受任通知が債権者に対して発送されます。貸金業法において、受任通知を受け取った後に直接請求はできないのです。
しかし、個人再生に失敗すると借金が減額されないだけでなく、債権者からの取り立ても続くことになるのです。
裁判所に払った費用は戻ってこない
個人再生の手続きをするにあたって、裁判所に対して費用を支払わなければいけません。そして、仮に個人再生の手続きに失敗した場合、支払っていた費用は戻ってこないのです。
また、裁判所だけでなく弁護士・司法書士に対しても個人再生手続きを依頼するにあたって、費用を支払わなければいけません。
依頼費用は各事務所で異なるため一概には言えませんが、数十万円はかかることから決して安い金額ではないです。
費用が戻ってくるかどうかは事務所により異なる
個人再生手続きのために支払った費用について、裁判所に対するものは戻ってきません。しかし、弁護士・司法書士などへの依頼料については各事務所で取り扱いが異なります。
事務所によっては依頼費用が戻ってくる、仮に返ってこなくても次回依頼分の割引に充てられるなど、複数のケースがあります。

個人再生の成功率を上げる4つの方法
弁護士・司法書士に依頼をする
個人再生の成功率を上げるためには、弁護士あるいは司法書士への依頼は必須と言っても過言ではありません。法律に対する豊富な知識をもとに、成功させるためサポートしてくれます。
個人再生の手続きは非常に複雑なため、個人で進めるには困難を極めるでしょう。また、債権者や裁判所とのやり取りなども発生するため、なかなか一筋縄にはいきません。
弁護士・司法書士に依頼をすることで、成功率アップだけでなくスムーズな進行にも繋がります。なお、依頼先を選ぶ際は実績を意識してみましょう。
また、無料で相談できるか否かも重要なチェック項目です。多くの法律事務所・司法書士事務所では、電話やメールなどで無料相談を受け付けています。
なかには直接会って相談できる場合もあるため、アクセスしやすい場所に事務所があるかもチェックしておきましょう。
弁護士と司法書士で扱える業務範囲は異なる
弁護士と司法書士は、どちらも個人再生の手続きをサポートしてくれる心強い存在です。しかし、それぞれで扱える業務の範囲は異なります。
依頼内容 | 弁護士 | 司法書士 |
---|---|---|
法律相談 | 〇 | 〇 |
書類作成 | 〇 | 〇 |
裁判所への同行 | 〇 | × |
再生計画案の作成 | 〇 | 〇 |
弁護士は個人再生手続きにおけるすべての業務を担当できますが、司法書士は裁判所への同行はできません。
また、司法書士は140万円以下の案件は受任できないため、弁護士よりも請け負える範囲は狭まります。

依頼をしてから任せっきりにしない
個人再生の手続きは、非常に複雑なため知識がない人からすると理解が困難です。そのため法律を熟知した弁護士・司法書士に依頼をしますが、任せっきりではいけません。
個人再生の手続きには、債務者が作成しなければならない書類もあります。お金を払って依頼をしたため、自分は何もせず待つだけという甘い考えは捨てましょう。
あくまで弁護士・司法書士は、個人再生の手続きをサポートしてくれる立ち位置と認識しておきましょう。
漏れのないようきちんと返済を続ける
個人再生は抱えている借金を大幅に減額するものですが、すべてなくなる訳ではありません。手続きが完了してからは、再生計画案に則って返済し続ける責任があります。
仮に個人再生が認められて減額に成功しても、返済が滞るなどの事態に陥れば取り消しとなる可能性はゼロではありません。

大まかな手続きの流れを知っておく
個人再生の手続きをスムーズに進めて認められるために、弁護士・司法書士に依頼するとはいえ大まかな流れを把握しておくことは大事です。
- 弁護士・司法書士に依頼
- 受任通知の送付
- 上限金利の引き直し計算
- 書類の準備
- 個人再生申立書の作成・申し立て
- 個人再生委員と面接後に再生手続きの開始決定
- 債権者による債権届け出
- 債務認否一覧表の提出
- 再生計画案を提出し書面による決議・認可決定
- 再生計画認可決定の確定後に返済開始
基本的には上記の流れで進むため、把握しておくと「いつ・何をすべきか」がわかるきっかけとなります。
なお、手続きを進めるうえで住民票の写し・再生債務者の財産目録・収入額がわかる書面などが必要となるため、事前に準備をしておきましょう。
個人再生に失敗してしまった時の対処法
再申請の手続きを行う
個人再生の手続きが失敗した場合は、再申請を検討してみてください。一度失敗しても、再申請した際に収入がアップしていると返済が可能と判断される場合があります。
また、弁護士費用等を抑えるために自信で手続きをして失敗に終わっても、再申請時は弁護士に依頼をしたことで認可されるケースもゼロではありません。
なお、再申請をするにあたって、なぜ認可されなかったかを分析しておくことも重要です。主な原因としては以下が挙げられるためチェックしておきましょう。
- 書類の不備
- 収入面によって返済が不可と判断された
書類の不備については、弁護士・司法書士に依頼をすることで防げる可能性が高まります。
ただし、専門家に依頼したとはいえ丸投げにするのではなく、自身でも間違いがないかをしっかりと確認したうえで書類を提出しましょう。
自分の状況をしっかり分析すると、前回の失敗を活かし再申請で個人再生が認められることに繋がります。
任意整理を検討する
個人再生の手続きをして認められんかった場合は、任意整理も検討してみてください。個人再生よりも借金の減額は少なくなりますが、法律に則って返済負担を軽減できます。
任意整理とは、取引開始時に遡り利息制限法の上限となる15%~20%に金利を引き下げて再計算することです。原則金利をカットし、元本のみを3年程度の分割にして返済します。
個人再生は裁判所に再生計画を提出して、認められなければいけません。その点、任意整理の方がハードルは低いと言えるでしょう。
自己破産を検討する
個人再生の手続きが認められなかった場合、自己破産も選択肢として頭に置いておきましょう。自己破産をすると抱えている借金は、すべて免除となります。
自己破産は、債務整理のなかでも抵抗を感じる手続きと言っても過言ではありません。しかし、借金返済が苦しい場合はすべてゼロにできるため、生活再建が図りやすいです。

個人再生の相談におすすめの弁護士・司法書士事務所5選
東京ロータス法律事務所
- 債務整理の事案を数多く手がけた経験と実績
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- 借金問題の相談料は無料
東京ロータス法律事務所は、債務整理事案を数多く手がけた実績があるので、ノウハウを持っており、ひとりひとりの事情に応じた解決策を提案してくれます。
電話相談には電話代がかからないので、じっくりと納得のいくまで相談できます。

相談料 |
無料 | ||
---|---|---|---|
任意整理の費用 |
着手金・報酬金:22,000円 減額報酬:11% |
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自己破産の費用 | 着手金・報酬金:220,000円~ | ||
個人再生の費用 | 着手金・報酬金:330,000円~ | ||
過払い金の費用 |
着手金・報酬金:無料 過払い金報酬:返還額の22% |
||
所在地 | 東京都台東区東上野1丁目13番2号成田第二ビル2階 | ||
主な対応業務 | 債務整理・交通事故・労働問題・債権回収・相続問題・不動産トラブル |
出典:http://tokyo-lawtas.com/ ※価格は全て税込です。
ひばり法律事務所
- わかりやすいコラムで予備知識を得られる
- 25年以上の実績のある弁護士が運営
- 女性の弁護士が在籍している
ひばり法律事務所は、2020年7月に個人事務所「名村弁護士事務所」から弁護士法人事務所「ひばり法律事務所」に組織変更した法律事務所です。
「ご相談者様の立場に立って、親身になって業務をすること」を基本理念として掲げており、一人ひとりに合った解決策を提案してくれます。

相談料 | 無料 | ||
---|---|---|---|
任意整理の費用 | 着手金・報酬金:22,000円 | ||
自己破産の費用 | 着手金・報酬金:220,000円~ | ||
個人再生の費用 |
着手金:330,000円~ 報酬金:220,000円~ |
||
過払い金の費用 |
着手金:0円 報酬金:0円~ 成功報酬:回収金の22%(訴訟は27.5%)+実費 |
||
所在地 | 東京都墨田区江東橋4丁目22-4 第一東永ビル6階 | ||
主な対応業務 | 借金問題・サイト被害・離婚・相続 |
出典:https://www.hibari-law.net/ ※価格は全て税込です。
はたの法務事務所
- 相談料・着手金が無料
- 何回でも無料で相談ができる!
- 全国どこでも無料で出張
- 20万件以上の相談実績
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これまで20万件以上に対応した実績と経験があり、満足度も95.2%※1と高水準です。土日祝日も電話相談が可能なので、平日は忙しくて時間が取れないという人にもおすすめです。

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相談料・着手金 | 無料 | ||
---|---|---|---|
任意整理の費用 |
基本報酬:20,000円〜 減額報酬:減額できた金額の10% |
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自己破産の費用 | 報酬:30万円~(少額管財事件は+20万円~) | ||
個人再生の費用 | 報酬:35万円~(再生委員に支払う費用+20万円~) | ||
過払い金の費用 |
基本報酬:無料 過払い報酬:取り戻した過払い金額の20%。※10万円以下の場合は12.8%(+1万円の計算費用) |
||
所在地(東京本店) | 東京都杉並区荻窪5-16-12 荻窪NKビル5階・6階 | ||
主な対応業務 | 債務整理・過払金請求・登記業務 |
出典:https://hikari-hatano.com/ ※価格は全て税込です。
弁護士法人・響
- 多くの弁護士が在籍
- 進捗状況をこまめに連絡
- 依頼前にかかる費用を明示
弁護士法人・響は、お客様に寄り添った解決を第一の目標としている法律事務所です。納得いくまでわかりやすく方針を説明してくれるだけでなく、進捗状況もこまめに連絡してくれます。
多くの弁護士が在籍しており、担当弁護士だけでなくチーム全体で取り組んでくれるので、問題解決力も高いです。

相談料 | 無料 | ||
---|---|---|---|
任意整理の費用 |
着手金:55,000円〜 報酬金:11,000円〜 減額報酬金:減額分の11% |
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自己破産の費用 |
着手金:33万円〜 報酬金:22万円〜 |
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個人再生の費用 |
着手金:33万円〜 報酬金:33万円〜※住宅なし:22万円〜 |
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過払い金の費用 |
着手金:無料 解決報酬金:22,000円 過払報酬金:返還額の22%(訴訟:27.5%) |
||
所在地(西新宿オフィス) | 東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー14階 | ||
主な対応業務 | 債務整理・交通事故・相続・離婚 |
出典:https://hibiki-law.or.jp/ ※価格は全て税込です。
天音総合法律事務所
- 専門チームでの迅速な対応
- 諦めずに戦い続ける姿勢
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天音総合法律事務所は、依頼者が本当に求める最高の成果にこだわり、利用者の声に耳を傾けてくれる法律事務所です。
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相談料 | 無料 | ||
---|---|---|---|
任意整理の着手金・報酬金 |
着手金:55,000円~ 和解報酬:11,000円~ 減額報酬:減額分の11% 過払い報酬:返還額の22%※訴訟の場合は27.5% |
||
自己破産の着手金 | 605,000円~ | ||
個人再生の着手金 | 715,000円~※住宅ローンなし:605,000円~ | ||
過払い金の成功報酬 |
着手金:無料 報酬金:返還額の22%※訴訟の場合は27.5% |
||
所在地 | 東京都中央区日本橋堀留町2-3-14 堀留THビル10階 | ||
主な対応業務 | 債務整理・交通事故・相続・離婚・労働紛争 |
出典:https://amane-law.or.jp/ ※価格は全て税込です。
まとめ
この記事では、個人再生をするうえで気になる成功率や、成功させるための方法について解説しました。
個人再生の成功率は、令和元年のデータによると約93.9%となります。高い成功率を誇っているため、借金の減額に対して希望が抱けるでしょう。
手続きを成功させるためには、弁護士・司法書士への依頼をおすすめします。複雑な手続きや債権者・裁判所とのやり取りなど、トータル的にサポートしてくれるため心強いです。
