
督促状は自分が金融機関などに借金をした場合の返済の他、様々な料金、国や地方自治体へ納付する税金、公共料金の支払いを滞納したとき送付される書類です。この書類を無視し続けると最悪の場合、自分の財産を没収されるなどのペナルティが課せられてしまいます。

この記事では、督促状の内容や督促状の送付から強制執行までの流れ、督促状が届いた場合の対処法と注意点を解説します。
- 督促状とはどんな書類か
- 督促状が届いた場合の流れ
- 借金返済が困難な場合の対処法
目次
督促状は無視しても良い?
督促状:滞納した借金や税金等の支払いが遅れているお知らせ、その支払いを催促する書面のこと
督促状が届いて間もなく裁判に訴えられたり、預金が差し押さえされたりすることはありません。
しかし、督促状を無視し続ければ、相手方は強制的な手段をとる可能性もあります。

そもそも督促状が届くケースは?
督促状は債務の支払いが滞った人に債権者から返済を促す文書です。督促状が届くケースは主に次の2つです。
- 借金返済や料金の滞納→銀行や消費者金融、サービス提供会社などが送付
- 税金や年金保険料、公共料金の滞納→国や地方自治体、日本年金機構、ガス・電気・水道事業者などが送付
滞納が認められれば、民間会社も公的機関も督促状により支払いを促す方法をとります。
しかし、一定期間にわたり自分が何もしなければ、最終的に給与・預貯金等の財産が差し押さえられる事態となります。
督促状はハガキや封筒で届く
国・地方自治体や日本年金機構、公的事業者、銀行、クレジットカード会社、消費者金融いずれの場合も返済の遅れを確認したら、督促状は数日〜1週間後を目安に届くのが一般的です。
督促状の内容はハガキも封筒も同じで、概ね次の事実が記載されています。
- 充名
- 滞納期間・日付(ローン等の場合は借用日)
- 滞納分の支払いに関する内容(請求金額・納付期限・振込先・遅延損害金等)
- 法的措置の示唆等
督促状を無視すると?
督促状が届いてから債権者の法的措置にいたる流れは次の通りです。
- 滞納し数日〜1ヶ月経過:督促状が送付され(複数回にわたることも)、催促の電話も来る
- 滞納から2ヶ月経過~:催告書が届く
- 滞納から3ヶ月程度~:裁判所から差押え手続きに入る旨の通知がなされ、財産の差押えがおこなわれる
催告書の内容は督促状と同じですが「法的手段をとる」と、強い文言で警告を受けます。つまり、催告書は最終警告をおこなう書類としての意味があるのです。
督促状送付後の法的措置は?
督促状を送付する側によって、とり得る手段は次のように異なります。
- 銀行・消費者金融等:借金の滞納をした人に訴状(裁判書に訴える)または支払督促(裁判所から金銭支払い命令の通知)が届く→裁判や支払督促の対応次第で財産差押え
- 国・地方自治体・日本年金機構:財産調査が行われる→調査で財産がみつかると裁判を経ずに差押え(例:預金口座の凍結や差押えされる等)
- ガス・電気・水道事業者等:公共サービスの供給停止
督促状が届いた場合の対処法
督促状を無視し続ければ、自分の大切な財産が差し押さえられる場合や、ライフラインの供給が停止される場合もあります。日常生活に大きな支障をきたす場合があるでしょう。

こちらでは、督促状の送り先によってどんな対処をすべきか説明します。
税金・年金に関する督促状の場合
国・地方自治体や日本年金機構は裁判を経ずに、滞納者の財産調査をしたうえで、最終的に財産の差押えをおこなえます。
督促状を無視し続けた数か月後の措置といえますが、財産の差押えの準備は着々と進められているのです。
督促状を受け取った場合、速やかに税金や国民年金保険料を納付しましょう。
そうすれば、納付する意思を示すことができ、窓口の職員から良いアドバイスを受けることも期待できます。

金融機関からの督促状の場合
借金の返済が滞った場合、借金をした本人には督促状→催告状→訴状または支払督促→財産差押えという形で進められます。
しかし、督促状送付後も本人が返済しないと、契約時に設定した連帯保証人へ金融機関側から請求が届くことになります。
督促状を受け取ったら速やかに返済するか、金融機関の担当者に相談し返済の猶予のお願いや、返済のアドバイスを受けるなど、何らかの対応をおこなうべきです。

督促状を無視するとどうなる?
自分宛てに督促状が届いたのを知ったうえで無視するとどうなるのでしょうか。ここでいう無視とは、督促状が届いたことを深刻にとらえず、そのまま何もしないケースを指します。
督促状を無視したらいったいどうなるのか、想定されるその後の展開について解説します。
電話による連絡
督促状が届いても無視し続けたら、電話による連絡が始まります。督促状に対して何も反応がないため、電話をかけて相手と直接話そうとするのが一般的です。
内容証明郵便ではない督促状だと「そんな郵便届いてないよ」と言い逃れされてしまう可能性があるため、電話で直接話して言い逃れさせないのが目的です。
催告書が届くようになる
催告書は、債権者から債務者に向けて支払いを促す最終通告の書状です。もしも催告書が届いたら、督促が最終段階に入ったと判断して構いません。
最終通告ですので、次の段階に進めば法的措置が取られます。督促状の段階で支払っておけば、催告書が届くことはありません。
ですが、督促状をいつまでも無視すれば、催告書が届いてしまうこともやむをえないでしょう。
クレジットカードが利用できなくなったりローンが組めなくなる
督促状が届いても無視して支払わなければ信用情報に傷がつき、クレジットカードの利用やローンに少なからず影響が出ます。

クレジットカードもローンも、利用者に信用がなければ成立しないサービスです。そのため、督促状が届いても支払わない人は、残念ながらサービスを利用できません。
詐欺でないなら無視はNG
督促状を無視するのはさまざまなデメリットがあるので、根も葉もない詐欺目的の督促状でない限り無視はNGです。
督促状が届いたら黄色信号ですので、無視するのは決して得策とはいえません。
借金返済が難しい場合の対応
借金で苦しんでいる人は債務整理法を活用し、返済の猶予や免除を試みる方法も検討してみましょう。個人がおこなえる債務整理法には次の3つがあります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
こちらでは、それぞれの特徴や注意点を説明します。
任意整理
任意整理は、借金した側とお金を貸した側(銀行・消費者金融等)とで返済について話し合い、双方が合意しておこなう債務整理法で裁判所は関与しません。
しかし、借金した側がどのような借金の返済方法を提案するのか、よく検討し計画を立てておかなければ、お金を貸した側と有意義な交渉にはなりません。
借金を減額を交渉する前には、以下のポイントを考えておく必要があります
-
借金総額をいくら減額してもらうのか
-
どのように借金を返済するのか(例:一括返済or月賦返済)
借金をした人がよく考え、お金を貸した側の合意を引き出す努力が必要です。
個人再生
個人再生は裁判所に申立をおこない、経済的な建て直しを図る方法です。個人再生には次の2種類があります。
- 小規模個人再生:住宅ローンのような被担保債権以外の借金額が5,000万円以内で、継続的または反復して収入を得る見込みのある人が対象となる方法
- 給与所得者等再生:小規模個人再生に該当する方で、サラリーマンのような給与または給与に類する定期的な収入を得る見込みがあり、かつその金額の幅が小さいと見込まれる人を対象とする方法
いずれの個人再生も裁判所へ再生計画案を提出し、無事認可されれば大幅な借金の減額が期待できるでしょう。
しかし、裁判所の手続きを申立人だけでおこなう場合、申立書の作成や提出は非常に手間がかかります。

自己破産
自己破産:裁判所から借金の返済を免除してもらう債務整理法
借金をした人が申し立て、裁判所が「支払不能」の状態であると認定したとき、破産手続開始決定がなされます。
つまり、申立人が返済不可能な状態になっていないと認められません。また、申立人に一定の財産があると認められたならば、破産管財人が選任されます。
管財事件の場合は、関係者が集まる「債権者集会」も開催されています。
一方、申立人にめぼしい財産はないと判断されると、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止決定がなされ、これを「同時廃止」と言います。

法律の専門家に相談する必要性
債務整理法の活用を考えている場合、借金をした本人だけで手続きはおこなえます。しかし、債務整理を進めていくためには法律の知識が不可欠です。
こちらでは、債務整理で大きな助けとなる法律の専門家について説明します。
債務者個人の勝手な判断は危険
債務整理法をおこなえば、必ず借金が減額または免除されるとは限りません。
自己破産では返済不可能な状態であることを、主張・立証しなければいけません。借金をした本人だけでは非常に困難な作業が伴います。

法律の専門家とは?
債務整理をおこなう際、頼りになる法律の専門家は次の通りです。
- 弁護士
- 司法書士
弁護士
基本的に法科大学院を修了後、司法試験へ合格し司法修習を経たうえで得られる専門資格です。
任意整理・個人再生・自己破産いずれも依頼することが可能です。

司法書士
司法書士試験に合格した人が与えられる専門資格です。主な業務としては不動産の登記・供託の手続き、裁判所・検察庁・法務局へ提出する書類の作成・提出を代行します。
自己破産や個人再生は地方裁判所が関与するので、司法書士は代理が不可能です。

弁護士なら書類の書き方から裁判所での対応までおこなう
もちろん、弁護士に依頼する場合は報酬を支払う必要があり、債務整理を依頼するならケースによって10万円~60万円程度かかります。

お金に余裕がないなら
弁護士に借金等について相談したいが、お金に余裕がないならば「日本司法支援センター」へまず相談してみましょう。
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督促状と催促状の違い
督促状と催促状は言葉がよく似ていますが、意味に明確な違いがあります。法律に関する詳しい知識がなくても、言葉の違いはなるべく正確に理解しておきたいところです。
そこで、催促状とはどんな書状なのか、督促状と催促状の違いについて解説します。
催促状とは
催促状とは、支払い期日が経過しているにもかかわらず支払いのない相手に対し「支払期日が経過しているので支払って下さい」と、支払いを催促する書状です。

催促状は相手に対して「もしかしたら支払いを忘れてはいませんか」と、確認する意味合いが強いといえます。支払うつもりでも、うっかり忘れてしまうケースはめずらしくありません。
とはいえ、忘れたままいつまで経っても支払われないのは困るので、支払いをしてもらえるように催促状を送付します。
督促状は催促状より強め
督促状と催促状は言葉がよく似ていますし、どちらも大まかな意味はそれほど変わりません。督促状も催促状も、相手に支払いを促すのが目的の書状です。
催促状は確認する意味合いが強いですが、督促状はそうではありません。場合によっては、「法的措置を取ります」「期日までに支払いがなければ遅延損害金を請求します」といった言葉が並ぶなど、相手に支払ってもらうための強い催促といっても過言ではありません。
また、催促状とは違い、督促状は内容証明郵便で送付することもあります。

誰から誰にどんな文書が出されたのかを証明する郵便ですので「督促状が届いていない」といった言い逃れはできません。内容証明郵便を利用して督促状を送付した明確な証拠を残しておけば、法的措置を取る場合でも問題なく対応できます。
督促状は催促状よりも支払いを強めに促していると覚えておきましょう。
家族の督促状に返済義務はある?
もしも、自分の家族に借金返済に関する督促状が届いてしまったら、自分に返済義務はあるのでしょうか。家族の借金を自分が支払うべきなのかどうかを、しっかりと理解しておきましょう。
借金における家族の返済義務について解説します。
家族の督促状なら返済義務はない
たとえ家族に借金返済を促す督促状が届いたとしても、自分が借金の返済義務を負う必要はありません。なぜなら借金は基本的に、契約した本人だけに返済義務があるためです。
家族は非常に近しい関係には違いありませんが、だからといって自動的に借金の返済義務を負うわけではありません。
ですから、たとえ家族でも「自分には関係ないこと」だと静観しても、誰からも責められません。

保証人の場合は返済義務が生じる
家族の借金に対して返済義務はないですが、自分が保証人になっている場合は別です。

もしも保証人になっていたら、借金の返済義務が生じます。
この場合は「私が借金をしたわけではない」と、契約者本人でないことを理由に借金から逃れることはできません。債務者が完済さえすれば問題ありませんが、そうでない場合は返済の責任を負います。
つまり、家族に督促状が届いたら、自分に督促状が届いたのとほぼ同じ意味です。
身に覚えなく勝手に保証人にされてしまった場合は無効
借金の保証人は、債務者と同じように返済義務を背負いますが例外もあります。それは、自分の身に覚えがまったくなく、家族が勝手に保証人にしていた場合です。
保証人として契約されていたとしても、見覚えがない場合には自分が返済義務を負う必要はありません。
督促状が届いた場合の注意点
違法な業者(闇金など)から架空の督促状が送付されるケースに注意しましょう。督促状が届いた場合、慌ててしまう人もいるはずです。
冷静に送付先はどこなのかを確認し、請求内容に心当たりがあるかをチェックします。
しかし、不安を抱き督促状に記載された連絡先に問い合わせると、執拗な請求が始まるおそれもあります。最近は架空の督促状も巧妙化しています。

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よくある質問
たとえば、もともとの支払い期日ギリギリだったり少し遅れて支払ったりした時は、きちんと支払ったにもかかわらず督促状が届く場合があります。なぜなら、支払いの確認が取れる前に、督促状の送付手続きをしているためです。つまり、支払いと督促状の送付が行き違いになっている場合は、支払ったにもかかわらず督促状が届いてしまいます。この場合は電話などで連絡してすでに支払った旨を伝えるか、確実に支払ってさえいれば連絡しなくても問題ありません。
督促状が届いたからといってすぐにサービスを利用できなくなるとは限りませんが、その可能性も十分あると肝に銘じなければいけません。契約通りに支払っていれば、問題なくサービスの利用を継続できます。ですが、支払いがストップすれば、いつかはサービスを利用できなくなります。もしも、督促状が届いたらその内容をすべて確認し、支払っていなければ早急に支払ってください。督促状が届いている時点でかなり危ない状態ですので、楽観視するのはよくありません。その状態が長く続けば、確実にサービスを利用できなくなります。
まとめ
督促状が届いたら督促内容を確認し、どんな対応がベストか冷静に考慮しましょう。
また、架空の督促状ではないものの、督促内容が事実と異なる(返済額が違う、既に税金を支払っている等)場合、早めに送り先の窓口へ問い合わせたり、法律の専門家へ相談したりすることが大切です。
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